一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 どちらも言い合わせたわけではなく、自然にそうしたいと思ったから、そうなった。
 それがなんだか、おかしくて、私と理世は顔を見合わせて笑う。

 ――ささやかな思い出も大事にしていきたい。

 同じことを考えていた。

「今日はまだ行くところがあるから、アルコールは禁止で」
「それは忘れていいのに……」
「忘れられないだろうな」
「ですよね」

 すみませんでしたと心の中でつぶやいた。
 永遠の黒歴史として、酔っぱらった私は、理世の記憶に残り続けるらしい。
 私だけでなく、理世もアルコールを頼まずに、カプチーノとクロックムッシュ、チーズとジャガイモのオムレツを注文した。

 ――次に行く場所が、サプライズに関係あるのかな。

 今のところサプライズは特になく、普通の新婚旅行だった。
 料理を持ってきたウエイターさんも踊らなかったし、料理も普通で、変わったところはない。

「じゃあ、行こうか」

 理世は食事を終え、私に手を差し出した。
 私の手をとった理世は、一瞬、リセに見えた。
 
 ――理世でリセ。どちらも私は好きになるのは、一目惚れだった。
 
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