一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 交差点にさしかかり、赤信号で足を止めた。
 巨大なスクリーンにアーティストのMVが流れ、顔をあげた。
 それは私だけじゃなく、他の人も顔をあげて眺めていた。

「ローレライ……」

 スクリーンに映ったのは、モデルのローレライだった。
 一瞬で目を引くカリスマ性と圧倒的な美しさ。
 ブランド『Lorelei(ローレライ)』のドレスを着た謎の美少女ローレライの姿は、ただただ美しい。
 歌を歌っているのは別のアーティストだけど、水を表現したドレスと木々の中にいるローレライはまるで妖精のようだった。
 女子高校生たちは、憧れの目でローレライを見つめる。

「ローレライって、人間じゃないみたい」
「作り物みたいに綺麗よね」
「ほとんど口をきかないらしいわよ」
「インタビューもテレビもNGなんでしょ」

 みんな、同じ印象を持つ。
 それは、デザイナー麻王悠世が作り上げた彼女のイメージである。
 わかっているけど、精巧に作られた人形のような美しいローレライから、目が離せない。

 ――麻王悠世はデザイナーとしてだけじゃなく、経営者としても間違いなく一流。
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