一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 巨大なスクリーンは、私の遥か上、頭上より高い場所にあった。

 ――あそこを目指すには、今の私には高すぎるよ。リセ。

 スクリーンを見上げる私の前髪を初夏の風がなでていった。
 信号が青に変わり、足を進めた。
 優しいリセが、夢を夢で終わらせないために、私にくれたチャンスオーフレッシュの香水。
 香水の香りが、私とリセの出会いを夢だったことにさせない。

 ――二度と会えないってわかっていても、私に希望をくれた。

 一生の思い出とともに。
 人の流れにのってファッションビルへ入っていくと、入口正面には『Lorelei(ローレライ)』の服を着たマネキンがあった。
 雨の日を楽しもうというタイトルと一緒に、素敵なミモレ丈のワンピースが飾られている。
 ドット柄のフレンチスリーブのタイトワンピース。
 まるで、フランス映画に出てきそうなワンピースで、ウエストに黒のリボンがついている。
 素敵だなぁと思って見ていると、私と同じようにワンピースを眺めている女の子たちがいた。

「お父様におねだりして、『Lorelei(ローレライ)』が出した夏の新作を買ったのよ」
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