政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 分かっていてそう言った槙野からの電話は切れた。
 あとは任せておけばいい。

 そんなことより、片倉にとっては浅緋である。
 大丈夫だろうか……?



 その頃浅緋は、片倉の秘書だと言う人物から電話を受けていた。

「レセプション、ですか?」
『はい。急で申し訳ないのですが、片倉がお伝えし忘れてしまったようでして』
 こんな時にも片倉は電話をくれないんだな、と思うと浅緋は少し悲しい。

 けれど、レセプションに連れて行こうという意思はあるようだ。
 例えそれがお飾りの婚約者であったとしても。

「分かりました。私はどうすればいいですか?」
『本日の帰りにお車でお迎えに伺います。ホテルのお部屋を取って準備できるようにしておきますので、お手数をお掛けしますが、お着替えしてご参加してください。お部屋までは、片倉がお迎えに上がります』

 淀みないの話の仕方に優秀な人なんだろうと思う。

「いいえ、こちらこそお手数おかけいたします」
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