政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 片倉は大事にしてくれることは間違いはないだろう。
 それが対外的なものだけだったとしても。

 仕事が終わってから会社の外に出ると、以前にも迎えに来てくれた運転手の姿が見えた。
「こんにちは。お疲れ様でございました。お迎えに上がりました」

 その穏やかな姿を見ると浅緋は安心してしまう。
「ありがとうございます」

 浅緋が車に近づくと絶妙なタイミングでドアを開けてくれた。
 運転も相変わらず穏やかでスムーズだ。

「あの……以前もお迎えに来てくださいましたよね?」
「はい。片倉様の専属の運転手をしております、渡辺と申します。浅緋様、今後よろしくお願いいたします」

 今後がまだあるのか分からなくて、一瞬浅緋は返事を躊躇してしまったけれど、よろしくお願いします、と答えた。

 渡辺に連れていかれた先は一流ホテルの車寄せで、そこには1人の男性が待っていた。

「園村様、先ほどお電話させていただきました、長野と申します」
 それはとても綺麗な顔立ちの男性で、周りからとても見られているのだけれど、本人は気にしていないようだ。
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