政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
「あの、私はこういう経験がなくて、本当にうまく言うことができないんですけれど、もうしがらみはないんだって、気づいたんです。そのしがらみのない中で、私、慎也さんをとてもお慕いしていると気づきました。ええと……こういうのはお伝えするべきだと思ったんです」

 そう、これが伝えたかったことなのだ。

 槙野に言われて初めて浅緋が気付いたこと。
 もう、誰にも縛られなくていい。
 だから、浅緋は自分がどうしたいのか、一生懸命考えた。

 そうしたら、たった一つのその気持ちに気付いたのだ。
──私、慎也さんをとても、とてもお慕いしている……。

 本当に初めての事なので、考えた事を浅緋は一生懸命に片倉に伝えた。

「一体、いつから……?」
「いつからって……」
 浅緋は思い返してみる。

 きっと最初からだ。
 父のお葬式の日に玄関に立っているのを見た時から、きっと気持ちを持っていかれていた。

「最初からです。雪の中であなたが玄関に立っているのを見たときからです……」

「浅緋さん!」
「きゃ……」

 片倉は浅緋をふわりと抱き上げる。
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