政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 浅緋がマンションに帰ってきたら、寝室のベッドの上に、小さな可愛いクマのぬいぐるみが置いてあったのだ。

──クマ…?

 近寄って見てみるとクマはきらきらと光るネックレスを手に持っている。
 綺麗な一粒ダイヤで常時つけていることもできそうな、シンプルなデザインのものだ。

 きっとこれはプレゼントなのだろうということは、浅緋にも分かる。
 早速つけてみると、デコルテに綺麗に映えるデザインだった。

 片倉は一緒にいても、浅緋に支払いさせることはないし、この前のデートでも、浅緋の選んだものを買いたいという意識が片倉にはあるようなのだ。

 そんな中、このネックレスは浅緋が欲しいといったわけではなく、片倉が贈りたい、と思ったのだろうと、浅緋は察する。
 であれば、お礼を言ってつけるのが礼儀だ。

 この日いつものようにお風呂に入ったあと、浅緋は片倉が帰ってくるのを待った。

 かちゃかちゃ、と玄関で音がしてそっとドアが開く。
 浅緋も寝室のドアをそっと開けた。

「お帰りなさい」
「浅緋、今日は起きていてくれたの?ただいま」
そう言って片倉は浅緋をそっと抱き寄せて額にキスをする。
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