政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
「あれ? ネックレスは?」
「お風呂に入るのに外したんです」

「僕もお風呂に入ってくるから待っててくれる? 付けているところを見たいから」
「はい」

 お礼を言わなくては、と思ったのに言いそびれてしまった。
 浅緋はお風呂から上がってくる片倉をベッドの上で座って待つ。

「今日はプレゼントがあったから、待っててくれた?」
 仕事仕様ではない髪を降ろした片倉が、ふわりとボディソープの香りをさせて寝室に入ってくる。

 それはまさに大人の男性の色気が溢れんばかりで、浅緋は戸惑ってしまった。

「あ、お礼を言いたくて。とても綺麗なネックレスをありがとうございます」
「うん」

 片倉がベッドで隣に座るので、浅緋はどきん、としてしまう。
 この距離にすら、ドキドキしてしまうのだ。

「付けてみたんだ。どうだった?」
「すごく素敵でした」
「僕が付けてもいい?」

 先程のクマに掛けておいたネックレスを片倉は手に取って、浅緋に向き直る。

「はいっ」
 くるりと浅緋は後ろを向いた。
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