政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 片倉の手がそっと首の後ろの髪を避けるのが分かる。時折首に触れる指に、浅緋は鼓動が大きくなるのを感じた。

 さらりと首にネックレスがかけられて、首の後ろで金具を止めている気配がした。
 時間にしても大した時間ではないはずなのに、妙に長く浅緋には感じたのだ。

「よし、できた」
 片倉はいつもと変わらない声なのに。
 自分1人がこんな風にドキドキしてしまうのだろうか。

「こっち向いて見せて?」
 浅緋は大きく響く自分の鼓動の音を感じながら、片倉の方を向いた。

 片倉が浅緋の首元に手を伸ばす。
 そうして、ネックレスに触れた。
 とても優しい顔で浅緋を見つめている。

「うん。シンプルだけど、綺麗だな。浅緋にとても似合う。ずっと付けてくれたら嬉しいな」
「はい。もちろんです」

 触れているのはネックレスのはずなのに、首元をくすぐるように触れる片倉の指に、浅緋は戸惑う気持ちを必死で抑えていたのだ。

──ネックレス付けて頂くのって、こんなにドキドキするものですか?!

「浅緋」
「はい」
「お礼をしてくれる?」

 慎也さんからのおねだりだわ!
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