政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
「そんなこと……あるのかしら」
「あるよ。いつかしよう。一緒に。浅緋が堪えられなくて乱れて、我慢できなくなって……そういうの、しよう」

 浅緋の顔が熱くなる。
「それって、恥ずかしくないでしょうか?」

「恥ずかしいことすら共有できるくらいの関係になりたいんだよ。どれだけ乱れても、僕が浅緋を嫌うことはない。むしろ、僕だけにしか見せない浅緋が見たい」

 抱かれるとは、こんなにも官能的なものだと浅緋は知らなかった。
 囁かれる声も、触れる指もその言葉にすら反応してしまう。

 それは覚悟していた以上に未知のものだ。
 それでもそれすら共有したいと言ってくれる片倉に全てを委ねたいと思うのはおかしいだろうか。

「声、出ちゃいそうなら、出て大丈夫。むしろ、聞かせてくれたら嬉しいよ」

「はい……」
「それに……」

 そう言って、片倉は言葉を止める。
 浅緋は首を傾げた。
 それに?

「浅緋の声、すごくいい」
 何か言葉を呑み込んだように見えた。
 本当は何を言おうとしたのだろうか?
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