政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
 そうして、しばらく考えている様子だったが、ゆっくり口を開いた。

「ええ。浅緋ちゃん、あなたはこちらの方にお嫁に行きなさい」

 浅緋は思ってもみないことを突然言われて、目を見開いて、片倉を真っ直ぐ見ていた。
 初めて見た素の顔だ。
 そうして片倉は初めて彼女の瞳に捉えられた。

 園村の病室で初めて写真を見たときから、この人が自分に微笑んでくれたら、と思っていた。

 けれど笑顔じゃなくても、こんな素の顔でも全く構わないと、その時片倉は思ったのだ。

 その後は会社経営に関する譲渡の件や、相続の件で片倉は対応を進めた。
 そんな中で、片倉は奥さんに浅緋のことをくれぐれも頼むと言われたのだ。

 諸々の手続きが落ち着きかけた頃、その日浅緋はお使いに出ていて不在だった。

 客間で園村に手を合わせさせてもらった後、奥さんからお茶をいかが、と誘われたのだ。

 きっと話したいこともあるだろうと思ったし、自分はついテキパキ物事を進めすぎるところがある。
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