魔法の恋の行方・ドラゴンのヘタレ純愛・シリーズ6(グラゴールとエリィ)
それから
エリィは少し口を尖らせて、
恥ずかしさをごまかすように
「私、グラゴール様の事・・
嫌いじゃないですよぉ」

その言葉に
グラゴールの深紅の瞳が揺れた。
「エリィ・・君は・・・」

「旦那様ぁ、
馬車は出さなくていいですかねぇ」
グレーズが大声で言った。

「ああ、それでいい」
グラゴールが大声で答えた。

エリィは、まだ裾を握っている。
グラゴールはそれに気が付くと、
おずおずとその手に触れた。
「その・・話の続きを」

エリィはクスクス笑い、
また上着の裾を、また少し引っ張った。

「私、月桂樹、お気に入りですよ。
乾燥させて、お料理によく使いますから」
エリィは自分で言って、
少し照れくさいのか、うつむいてしまった。

グラゴールはその言葉を聞いて、
なんて答えようか・・・
必死で考えていた。

もう一度
「愛している・・」と
言っていいのだろうか・・・

「旦那様ぁ、
お茶の支度ができているそうです」
グレーズがまた大声で叫んだ。

グラゴールは
エリィの肩にそっと手を置いた。

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