Xmas Gift ~聖なる夜に~
「私もなにかプレゼント用意してくれば良かった」

「柊里の誕生日にって、俺が勝手にやったことだから気にするなよ」


 だったら、せめてここの支払いだけでも私が、と提案しても菖人は首を縦には振らないと思う。
 誕生日なんだから当たり前に奢られとけばいい、なんて言って、毎年私には払わせてくれないもの。


「このピアス、明日会社につけて行こうかな」

「彼氏に貰った、って自慢すれば?」

「そんな嘘つけないよ!」


 すかさず突っ込めば、菖人は綺麗な顔でアハハと笑った。
 菖人はスッと鼻筋が通っていて外国人のように形が整っている。それが横顔だととてもよくわかるから、私はつい見惚れそうになってしまう。

 友達から誕生日おめでとうの言葉とプレゼントを貰って、お酒を飲みながら楽しく過ごせているのだから、恋人がいないクリスマスでも私は幸せだ。
 これ以上を望むのは贅沢だと思えてくるほどに。

 私と菖人は気持ちの良いほろ酔いの状態でバーを出た。


「私、考えたらいい歳になっちゃったな。三十までもう何年もないよ」

「歳なんか関係ないって」

「そう言うけどさ、女は実際気にするから」

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