Xmas Gift ~聖なる夜に~
 会社の同僚にも、真剣に婚活している女性が何人かいる。
 結婚は何歳になってもできるけれど、出産はそうもいかないし……とか、三十路近くになるといろいろと考えがちになるものだ。


「だったら……」


 隣を歩く菖人が、自身の歩みを速めて私の視界を塞ぐように上半身を(かが)めた。


「もし来年のイヴも恋人がいなかったら、俺と付き合うのはどう?」


 良いことを思いついただろ? とでも言いたそうな表情を向けられたけれど、冗談だとわかるのでアハハと笑っておいた。

 安易にそんな提案をして、近い将来かわいい彼女ができたら菖人はどうするつもりなのだろう。
 あぁ、そしたら来年はあのバーには来ないか。


「わかった。来年もひとりだったら菖人と付き合う」

「え?!」

「なに? 言いだしたのは菖人でしょ。俺と付き合いたくなかったら早く恋人を作れ~とか言うつもり?」

「……違うけど」


 にこにこと笑いかける私とは対照的に、菖人はバツが悪いのかフイッと横を向いた。

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