7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
「どういう意味だ」
「とにかく、私の心配は無用です。約束通り永斗さんのフィアンセを演じます」
永斗さんがベッドから立ち上がり私の方へ歩み寄ろうとする。
「――こないで!!」
私が叫ぶと永斗さんはその場で足を止め、訝し気に私を見つめた。
「気に障ることをしてしまったなら謝る。すまなかった」
「違います……。そういうことではありません。私の問題なんです」
「……すまないが、仕事へ行ってくる。できるだけ早く帰る様にする。そのあと、パーティの打ち合わせをしよう」
「分かりました……。いってらっしゃい」
「……ああ。行ってくる」
重苦しい雰囲気のなか、永斗さんが部屋を後にする。
私はその場にヘナヘナと座り込んで頭を抱えた。
あんな態度失礼だったに違いない。
だけど、本当のことなんて言えるはずがない。
私が……あなたを好きになってしまったなんて……。
目頭が熱くなって嗚咽がこみ上げてくる。
北条さんとの結婚を決意していたはずの私が揺らいでしまったのは、永斗さんと出会ったから。
私が永斗さんを好きになってしまったからだーー。
でもそんなの、永斗さんには口が裂けても言えるわけがない――。
だって私達は偽りの関係なんだから――。