7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
まるで夢を見ているみたいだ。
「パーティでほとんど何も口にしていなかっただろう?遅い時間だが、食べられそうか?」
「実は腹ペコです」
「俺もだ」
ヘリコプターを降りると、車は永斗さんの指示でマンハッタン方面へ向かった。
そして、私たちはブルックリンブリッジのふもとにある超高級レストランへ足を踏み入れた。
橋の向こう側にイーストリバー越しのマンハッタンの夜景を眺めることができた。
周りのテーブルには私達しか客がいない。不思議に思っていると、貸し切ったのだと教えてくれた。
ヘリコプターで夜景を見たり、高級レストランで食事をしたり……。永斗さんはいつから計画してくれていたんだろう。
クラシックのBGMが流れる店内には時折ウエイターがやってくるだけ。それ以外は店内に私と永斗さんしかいない。
永斗さんと向かい合って二人っきりで食事を摂るのは初めてだ。
食事は美味しいけど、緊張してよく味が分からない。
それに……。ヘリコプターの中での永斗さんとの会話が頭に蘇る。
『ずっと俺のそばにいてくれ』
思い出すだけで信じられないほどに胸がうち震える。
でも、私は永斗さんの気持ちに応えることはできない。
あと少し早く出会っていたら……違う未来が描けたのかな……?
もしも、あのお見合いの前に会えていたら……。
いや、それは無理話だ。あのお見合いがなければ、私はこうやって海外旅行なんてしていない。
永斗さんと出会ったのが運命だとしたら……離れ離れになることも運命なのかもしれない。
デザートのケーキを食べ終えると、永斗さんが私を見つめた。
「ずいぶん落ち着かない様子だな」
「すみません。こういう場所は不慣れで」
「そうか。違う場所の方が良かったか?」
「いえ!そんなことはありません!!夜景を見ながら食事をとるなんてこんな贅沢ありません!」
私は慌てて否定した。
「実は以前、この席で取引先の人間と一緒に食事をしたことがあったんだ。普段、ゆっくり夜景を見ながら食事をとることはほとんどない。だから、記憶に残っていて沙羅を連れていきたいと思ったんだ」
「それで私を……?」
「沙羅に出会う前の俺は知らなった。自分がいいと思ったものを誰かに共有したいと思う日がくるなんて」
少し困ったように笑う永斗さんに胸が高鳴る。
時折見せるその笑顔は反則だ。あまりにも魅力的すぎる。
他の誰にも見せたくない……。私だけに見せて欲しい。そう思ってしまう。
異性に対してこんな風に独占欲を抱いてしまうのは初めてだ。
私は永斗さんにたくさんの初めてをもらった――。
想いが強くなればなるほど、苦しくなる。
泣きそうになるのをグッと堪える。
「これが以前沙羅が言っていた信頼関係ということだな」
「永斗さんは私を信用してくれているということですか?」
「そうだ。お前は俺を裏切らないと今は自信を持って言える」
最初に会った日、永斗さんは私を信じないとバッサリと切り捨てた。
でも、今は違う。たった数日だったけど、一緒にいた時間が私たちの心の距離を縮めてくれた。
「これから先もずっと沙羅と一緒にいたい。俺の願いはそれだけだ」