7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
南側に向いたヘリコプターからはライトアップされそびえたつ自由の女神が見える。

「すごい……!綺麗……!!」

思わず目を輝かせる。

ヘリコプターのすぐ足元には高層ビルがひしめくマンハッタンの街並みが広がっている。

青、赤、オレンジなど様々な輝きを放つマンハッタンを上空から見下ろすなんて贅沢すぎる。

こんなに綺麗な夜景を見るのは生まれて初めてだった。

まるで精密回路のように入り組んだビル街は圧巻だ。

セントラルパーク、タイムズスクエア、ブルックリン。

ヘリコプターは有名な観光地を巡る。

「ハァ……。確かにニューヨークの摩天楼って言われるだけあるなぁ」

窓の外をかじりつくように眺めていると、ヘッドセットから永斗さんの声がした。

「沙羅」

「永斗さん?えっ、声が……」

「このヘッドセットにはマイクがついていて会話ができる」

「え……!じゃあ、さっきの私の独り言全部聞こえていたってことですか!?」

「そういうことだ」

「最初から言ってくださいよ!!」

「可愛くて、つい。許してくれ」

可愛くて……?永斗さん今そう言った……?

ヘリコプターの中はエンジンとプロペラの音が大きい。

聞き間違いだろうと決めつけていると、「お前は可愛いよ、沙羅」と今度はハッキリと聞こえた。

思わず向かい合わせに座る永斗さんに目を向ける。

「聞いてくれ、沙羅。俺はお前を日本に帰したくない」

「え……?」

永斗さんは真剣な眼差しを私に向ける。

ポケットから取り出したのは、出会ったその日に作られた契約書だった。

「契約関係はもう終わりにしよう」

そう言うと、永斗さんは契約書を私の目の前でビリビリに破いた。

そして、私の目をまっすぐ見つめた。

「ずっと俺のそばにいてくれ」

彼は軽い冗談を言うタイプではない。

信じられない……。

本当に……?

喜びに胸が震える。

こんな感情、今まで一度だって味わったことはない。

嬉しくて幸せなのに苦しくて、少し気を抜けば涙が出そうになる。

「日本に帰るまであと2日ある。考えてみてくれ」

永斗さんの言葉に「はい」と即答したい。

私も永斗さんとずっと一緒にいたい。

でも、それはできない。

そもそも私がアメリカにきたのは一週間という期限つき。

日本には結婚の返事を待っている北条さんもいる。

自分の気持ちを優先して周りが見えなくなるほど私は子供じゃない。

永斗さんのことは好きだ。こんな風に誰かを愛することが出来るなんておもっても見なかった。

でも、永斗さんの気持ちを受け入れるということは叔父たちや妹たちを見捨てることになる。

永斗さんのことはもちろん大切だ。でも、家族も同じぐらい私にとっては大切なんだ……。

「永斗さん、私――」

言いかけたところでヘリコプターはタイミングよく地上へたどり着いた。

「返事は急がない。よく考えて欲しい」

永斗さんの言葉に私は曖昧に頷いた。
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