7日間花嫁を演じたら、冷徹富豪な石油王の極上愛に捕まりました
永斗さんはすぐに近くの救急病院に搬送された。

幸いなことにケガ事態は大したことはなかったものの、二日間は経過観察の為入院することになった。

深夜にも関わらず病院へ飛んできたマリアに事情を説明すると、マリアの顔色が明らかに曇った。

「仕組まれた可能性がありますね……」

「どういうこと?」

「海様です。今日のパーティで永斗様が沙羅様を婚約者だと周りの人たちに公表したことで自分の地位がいよいよ揺らぐかもと危機感を抱いたんでしょう」

マリアの言葉に眩暈がする。まさか海さんが永斗さんを……?

もしもそうなら酷すぎる。打ちどころが悪ければ永斗さんの命すら危なかった。

「少し風に当たってくるわ」

「分かりました。こんな時間なので永斗さんの顔を見たら私は帰ります。明日、またよろしくお願いします」

「気を付けて帰ってね、マリア。また明日ね」

マリアに手を振って別れると、病院のロビーを抜けて外に出る。

気温は更に下がり、粉雪がちらちらと舞い始めた。

そのとき、暗闇の中から見覚えのある人物が姿を現した。

「――海……さん?」

「やあ、沙羅。永斗、マウンテンバイクにぶつかられたんだって?ケガはどう?」

楽しそうに笑顔で尋ねる海さんを私は睨み付けた。

「どうしてマウンテンバイクにはねられたと知っているんですか?」

「どうしてってそんなの僕が全部仕組んだことだからに決まってる」

「なっ……!!」

ドクンっと心臓が不快な音を立てて鳴り始める。

「なぜですか……?どうして永斗さんにこんなひどいことをするんです!」

「全部沙羅が悪いんだよ?前に警告しただろう」

海さんと初めて会った日のことを思い出す。

『今すぐ日本に帰るんだ。もし、パーティに出席したら僕にも考えがある』

『じきに分かる。これは警告だ』

確かに私は海さんに言われていた。それを破ったのは他の誰でもないこの私だ。

「パーティに参加せず素直に日本に帰れば永斗がこんな目に合う必要はなかった。それだけじゃない。君がそばにいる限り、永斗は平穏に暮らせない。いや、暮らさせない」

「そんな……!どうして血のつながった兄弟にこんなひどい仕打ちができるんですか!」

「このままでは僕は永斗に全てを奪われてしまう。それを阻止するためなら僕はどんなことだってするよ」

「永斗さんはそんなこと望んでいません……!」

「分かったようなことを言うな!とにかく帰るんだ、日本に。ここでのことはすべて忘れろ。そして、二度と永斗と連絡をとるな」

「私が日本に帰れば永斗さんのことを傷付けないということですか?」

「そうだ」

「でも、その約束を守ってくれるという保証はありませんよね?」

私が日本に帰ったとしても、海さんが永斗さんに危害を加えないという保証はない。
< 69 / 96 >

この作品をシェア

pagetop