あやかし戦記 妖艶な夜に悪夢を
「ちょっと!この女、意識がはっきりとしているじゃない!」

イヅナを見てレジーナが手下に文句を言う。手下は「申し訳ありません、つい先程捕らえたばかりですので」と何度も謝った。

「ふん。意識がある人間は喚き散らしてうるさいから嫌なんだ」

「ですが、こちらの娘はかなりの上玉です。レジーナ様が喰うに値するかと……」

やはり自分は、そしてここに捕らえられている女の子たちは喰われるために連れて来られたのかとイヅナは体を震わせる。今まで危険な目に遭ったのは一度や二度ではない。しかし、ここまで死と隣り合わせだと嫌でも体は震えてくる。

「……どうして、人を喰べるんですか?」

手下と話すレジーナに訊ねると、レジーナは舌打ちを一つする。そして「馬鹿だからわからないのね」と言い、手下に手鏡を持って来させた。宝石の嵌め込まれた豪華な手鏡を前に、うっとりとした表情でレジーナは口を開く。

「私、美しいでしょう?でも女の美しさっていうものは永遠じゃない。どんなに努力したって、時間に勝つことはできないの。でもね、その老いていく時間を止める方法が魔女にはあるのよ」
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