あやかし戦記 妖艶な夜に悪夢を
それが若く美しい少女を喰べること、恍惚とした表情でレジーナに近付かれ、イヅナの口から小さな悲鳴が漏れる。レジーナはイヅナの白い頬を撫で、微笑んだ。

「あなた、女のわりに胸はそんなに膨らんでいないけど、体は細くて肌も綺麗ね。確かに私が喰べるのに相応しいわ」

でも叫ばれるのは嫌だから、口は塞いで起きましょう。そんなことを言うレジーナに対し、イヅナの中に怒りが湧き起こる。

「ふざけないで!私も、ここにいる人たちも、あなたの食料なんかじゃないわ」

レジーナを睨み付け、イヅナは続ける。

「ずっと美しくありたい、その気持ちはわかるわ。でも、人の人生を奪ってまで叶えなくちゃいけないことなの?今のあなたは私から見たらとても醜いわ!」

イヅナがそう言った刹那、体に激しい痛みが走る。レジーナが杖を向け、「黙れ、黙れ、黙れ、黙れぇぇぇぇ!!」と怒り狂っていた。

「お前から喰ってやる!!」

レジーナはそう言い、手下からナイフを受け取り、それをイヅナに突き付ける。数秒後、イヅナの体は血で赤く染まっているのだろう。
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