あやかし戦記 妖艶な夜に悪夢を
お邪魔します、きちんとそう言って四人は案内されたリビングに入る。ピンクの小物やハート型の鏡、うさぎやくまのぬいぐるみなど、可愛らしいもので溢れたこの場所は、チェルシーらしい部屋だ。

そんな部屋を見回していたイヅナたちを、ソファの上で寝ていた一匹の大きな犬が尻尾を振って見ている。

「可愛い!チェルシーさん、犬を買ってたんですか?」

イヅナが目を輝かせ、「触っていいっすか?」とレオナードが訊ねる。チェルシーがお茶を用意しながら「いいわよ」と微笑み、イヅナとレオナードは犬に優しく触れた。

「ふわふわで可愛い!」

「おお〜、人懐っこいなお前!」

尻尾を振って甘えてくる犬を撫で、イヅナとレオナードはニコニコと笑う。そんな二人を見てチェルシーは微笑み、アレンは何故か苦笑していた。

「チェルシーさん、こういったマンションでは基本動物は飼えないんじゃないんですか?飼えたとしても、小型犬や猫くらいだと聞いたのですが……」
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