・LOVER—いつもあなたの腕の中—
「それに、周りのお客さんからも注目浴びちゃうしさ」と、ツンツン袖を引っ張られた私は対応に困り。
 思わずマネージャーさんに助けを求め視線を向けると、マネージャーさんから右掌を向けられ「どうぞ座って下さい」と言わんばかりのデスチャーで促され。編集者さんからも「どうぞ」と続けて声をかけられた。


「ほら、早く」

「失礼しま……す」


 リュウに急かされ、隣の席に腰を下ろすと何事も無かった様に取材が再開された。今放送中の連続ドラマについて、うちのイメージキャラクターを務めることになった時の気持ちや文房具などについて。
 滞りなく編集者の質問に答えるリュウの隣で、何も言えずに口籠っている自分が情けない。会話の途中で話を振られても的確な答えになっているのかさえ自信が無くて、勝手に落ち込んでいた。


「では、次回作に出演される恋愛映画に因み、西田さんが惹かれる理想の女性像について教えていただけますか?」

「えー、理想? なんだか想像つかないなぁ」


 編集者の質問に「うーん」と腕組をし困った様に返事をしたリュウは。不意に横を向き隣に座っていた私を見つめながら言った。


「好みの女性なら、結構ハッキリしてる方だと思うんだけどね」
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