・LOVER—いつもあなたの腕の中—

「そういえば、以前はしっかりしていて頼りがいのある人と答えてましたよね？」

「うん。でも最近は一生懸命な子が好きなんだよね。少しドジでミスもするんだけど。そこがまた可愛くてさ」


　ドキッ。と、いち早く反応してしまい。なにを言い出すのかとリュウの顔を直視してしまった。
　質問を投げかけた編集者さん自身も目を丸くしてリュウを見つめているし、後ろに控えていたマネージャーさんも同様で。そんな二人が視界の隅に見えてしまったら、余計に何も言えなくなってしまう。
　淡々と答えたリュウは手元のカップを口に着け、ひとくち飲み込むと。みるみるうちにその表情が曇っていった。


「でも盛り上がってたのは、こっちだけだったみたいでさ。何なんだよーって、モヤモヤする」


　大きなため息をつきながら「勝手な思い込みだったのかな」と独り言のように呟いたリュウを制止するように。慌てたマネージャーさんの手が伸ばされ、録音中のレコーダーを止めた。


「申し訳ありません、今の話はオフレコということにしていただいて。違う答えを用意させますので」

「あ、そうして下さい。今の答えだと、憶測が飛び交いそうですから」