・LOVER—いつもあなたの腕の中—
 それに、私が裕隆さんとキスしたことを知ってしまったら。きっとリュウは私への気持ちも冷めてしまうだろう不安も抱えている。
 独占欲の強いリュウだから……。


「優羽、今夜どうする?」


 お互いの家で生活している身だ。暫く生活できるだけの準備は、どちらの家にも整っている。
 けれど、こんなスッキリしていない気持ちのままリュウと一緒に居てもいいのだろうか。なにも無かった様に、以前と変わらない生活が送れるとは到底思えない。


「優羽?」


 それでもリュウは私と一緒に居たいと思ってくれるの? リュウの告白を、素直に受けれることが出来ていない私と? 隠し事をしている、こんな私と?


 心配そうに不安げな表情で私の顔を覗き込んできたリュウに、見つめられていることが辛い。リュウを信じているのなら何も考えずにリュウの言葉だけを信じて、ついて行けばいいだけなのに。
 それが出来ないでいるのは。


「ごめ……ん」

「いや、優羽が混乱するのも当然だよな。俺こそごめん、今夜は送っていくよ」


 触れていたリュウの両手が静かに私の腕から離されると。自由になった両手は、まるで磁石のように。背を向け出掛ける準備を始めようとしたリュウの背中に向かい、無意識に追いかけ。両手がリュウを捉えた瞬間、思い切り抱き着いていた。
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