・LOVER—いつもあなたの腕の中—
「自分の将来がかかってるんだよ? 何をイイ子ちゃんぶってるの?」


 今思っている気持ちを話すことは悪いことではないし、むしろ口に出した方が相手にも伝わる。と芽衣は言った。


「男なんてね、ちゃんと言葉にして伝えないと分からない生き物だよ? 察してくれって思っても無駄。そもそも察するの無理だし」


 芽衣はカウンターをドンと叩き「ねぇ! 深山さん!」と、偶然カウンター越しに隣り合って飲んでいた深山さんに話を振った。

 会社近くの居酒屋だけあり、こうして社内の人と偶然隣り合うことも日常茶飯事で。見渡せば、ちらほらと我が社の社員らしき顔ぶれが目に入る。


「俺? あー、うん。否定はできない、な」


 芽衣に絡まれた深山さんは、やけに素直に答えてくれて。そのままカウンターに突っ伏した芽衣を困った顔で眺めた後、芽衣を挟んだ先に居た私へ視線を向け「真島、昼間は悪かったな」と深山さんから謝られた。


「なにがですか?」


 突然謝られる理由が分からず、首を傾げた私に「副社長から真島が副社長の婚約者だと聞いた」と深山さんに言われ。椅子からひっくり返りそうになってしまった。
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