【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない
好きでもない子からの告白なんて迷惑なだけ。





昴先輩を嫌な気持ちにさせてしまったかもしれないと考えたら怖くなってきた。





「迷惑?俺はキミからの告白は迷惑だなんてこれっぽっちも思ってないよ。むしろ嬉しかった」





驚いて声を出そうとした瞬間に店員が来て注文した品がテーブルの上に置かれた。





その数秒で気まずくなった依乃里と昴はお互い頼んだ飲み物を飲んで一度冷静になる。





カップを置いて、改めて昴にその言葉の意味問いただす。





「…えっと、それってどういう意味ですか?」






「そのままの意味だよ。むしろ嬉しかったんだ。キミから告白されて。けど....」






「けど?」




その先を知るのが怖い。今は何を言われてもネガティブに考えてしまいそう。






「俺にはまだ、キミを好きになる資格がないんだ」






「なんでですか?」






好きになる資格って何?先輩にとってそれは大事なものなの?






「それより、元気になったんだから今度の休日どこかへ行こうよ。榛名ちゃんが行きたいと思うところに」






また肝心なところで誤魔化された。これ以上聞いても答えてくれなさそう。





……一緒にどこかへ出かけてくれるってことはまだチャンスはあるってことでいいんですよね?





このチャンスは逃してはいけない。積極的にならないと先輩が他の子に取られてしまう。






そうならないためにも、勇気を出さないと…!





「イベントに...。今度ある配信者のイベントに行きたいです」






そのイベントは全国の配信者が会場で生配信をしながらファンと交流するイベント。






依乃里はこのイベントに出演する、明星タイムの配信イベントに参加する予定だ。
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