僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
 ああ、どうやら先の「大丈夫?」は「そんなに一人で荷物を持って、大丈夫だったの?」らしい。

 いや、率直に言わせてもらうと葵咲ちゃんが愛らしい顔で僕を覗き込んだりしなければ問題なかったさ。

 そう思ったけど、拗ねている彼女も可愛いので言わずにおいた。

 て言うか、同棲中の彼女に顔を覗き込まれたくらいであんなにときめいて、過剰反応したなんて知られるのも、恥ずかしいじゃないか。

 僕が葵咲ちゃんを大好きなのは今更隠しようがないぐらいバレバレだけど……たまにはカッコ良いって思われたい。

 僕、自分でも葵咲ちゃんに対して、常に全力でワンコさながらに尻尾振りまくってる自覚あるしね。
「キミに荷物を持たせるとか……僕が()()()()嫌だったんだよ、仕方ないだろ」

 拗ねた葵咲(きさき)ちゃんを真似して、いじけた振りをして見せる。

 でも今言った言葉は本音だよ。

 愛する彼女に重い荷物を持たせるなんて、僕は絶対嫌なんだ。


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