僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
***
 

「ごめんね、理人(りひと)、待った?」

 あれこれ思いを巡らせながらぼんやりテレビ前に座っていたら、葵咲ちゃんが戻ってきた。

 僕の肩に葵咲ちゃんの愛らしい手が触れて、その動きをなぞるようにさらりと流れた髪からシャンプーの香りがふんわり漂う。

(あー、まずい……)

 今すぐにでも押し倒したくなる衝動を逃すのに、いつも僕がどれだけ苦労しているか、彼女は知らないだろうな。
 まぁ、知らないからこんな風に無意識に(あお)ってこられるんだろうけど。

 葵咲ちゃんが相手だと、エプロン姿の彼女が「理人、おはよう」って微笑み掛けてくれる姿を想像するだけで、軽く一回()()()って、僕は断言出来る。

 ましてや――。
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