僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
***
先日、くだんのバイトの学生が、「池本先生、これすごく美味しいんでお茶請けにどうぞ」とウサギを象った練り切りを差し入れてくれたことがある。
その頃、巷でたちの悪い風邪が流行っていて、茶道部でも体調不良での欠席者が多かったらしい。結果、部で使うために買っていたものに余りが出たらしく、そのお裾分けをもらえたのだ。
和菓子にはそんなに縁のある方じゃなかったけれど、もらった練り切りがすごく綺麗で美味しかったから、葵咲ちゃんにも食べさせてあげたくなった。
それで仕事帰りに寄り道をして、「たちばな庵」へ出向いたんだけど、そこで真咲と再会して。結局そのときは旧友との再会が衝撃的すぎて、買い物をすっかり忘れて帰ってしまったんだっけ。
今度葵咲ちゃんと一緒に真咲の店へ行こう。
そう思いながら真咲を見やると、
「あぁ、まだ日は浅いけど……定期的にある程度の注文はしてくれるし、末永くお付き合い願いたいなとは思ってるよ」
言って、何故か少し寂しそうな顔をする。そんな真咲に、僕はさっきふと思ったことが再度脳裏をよぎった。
「真咲?」
思わずグラスを置いて彼を見つめたら「あぁ、ごめん」と返ってきて。
「悩み事?」
と聞いたら「まぁ、俺にも色々あるんだよ」と言葉を濁された。
「子供、いるんだよね? 間違っても女房子供を泣かせるような真似はするなよ?」
何となく真咲の雰囲気に危ういものを感じて、思わずそう言ってしまってから、余計なことを言いすぎたと思ったけど、遅かった。
先日、くだんのバイトの学生が、「池本先生、これすごく美味しいんでお茶請けにどうぞ」とウサギを象った練り切りを差し入れてくれたことがある。
その頃、巷でたちの悪い風邪が流行っていて、茶道部でも体調不良での欠席者が多かったらしい。結果、部で使うために買っていたものに余りが出たらしく、そのお裾分けをもらえたのだ。
和菓子にはそんなに縁のある方じゃなかったけれど、もらった練り切りがすごく綺麗で美味しかったから、葵咲ちゃんにも食べさせてあげたくなった。
それで仕事帰りに寄り道をして、「たちばな庵」へ出向いたんだけど、そこで真咲と再会して。結局そのときは旧友との再会が衝撃的すぎて、買い物をすっかり忘れて帰ってしまったんだっけ。
今度葵咲ちゃんと一緒に真咲の店へ行こう。
そう思いながら真咲を見やると、
「あぁ、まだ日は浅いけど……定期的にある程度の注文はしてくれるし、末永くお付き合い願いたいなとは思ってるよ」
言って、何故か少し寂しそうな顔をする。そんな真咲に、僕はさっきふと思ったことが再度脳裏をよぎった。
「真咲?」
思わずグラスを置いて彼を見つめたら「あぁ、ごめん」と返ってきて。
「悩み事?」
と聞いたら「まぁ、俺にも色々あるんだよ」と言葉を濁された。
「子供、いるんだよね? 間違っても女房子供を泣かせるような真似はするなよ?」
何となく真咲の雰囲気に危ういものを感じて、思わずそう言ってしまってから、余計なことを言いすぎたと思ったけど、遅かった。