僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
 僕は、彼女の愛らしいおでこに張り付いた髪の毛を、指先でそっと除けてあげる。
 さっき口付けた時より額が熱い気がして、キッチンに置かれたままの氷のうと氷枕を準備したほうがいいな、と思った。
 葵咲ちゃんが、僕の発熱を知って実家――丸山家――から借りて来たというそれらは、もうしばらく借りたままになりそうだ。

 2人とも元気になったら、こう言う時に備えてうちにも新調しておこうかな。

 それはさておき――。

 葵咲ちゃんが目を覚ました時、自力で着替え、出来るといいんだけど。

 無理だったら僕、邪念なく彼女を着替えさえてあげることが可能だろうか。

 そんなことを思いながら、僕は愛する彼女の、熱に浮かされた寝顔に再度視線を落とした。

 常とは違っていても、僕の葵咲ちゃんは凶悪に可愛いくてホント困る――。


     END(2020/09/08〜9/29)
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