僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
***

 睨んだ通り、仕事をして帰ってくる僕のために、ちゃんと湯張りを済ませてくれていた葵咲(きさき)ちゃんに感謝しつつ……僕は彼女の服を一枚一枚丁寧に剥ぎ取っていく。

「り、ひとも……スーツ、チョコついちゃってる」

 自分だけ脱がされるのは恥ずかしいんだろう。

 葵咲ちゃんが、僕の大好きなアーモンドアイを伏せ目がちにしてポツンとつぶやいた。

「あ、本当だ。悪いけど葵咲、脱がせてくれる?」

 小さく笑みを含ませた声で優しく強請(ねだ)れば、葵咲ちゃんが小さくコクンと首肯して。

 小さな手で、ジャケットを脱がせて、ズボンのベルトを外してくれた。
 そうしてフロントホックに手をかけたところで、
「っ‼︎」
 ()()()()()()に気がついて、慌てて手を引っ込めるんだ。

「あ、あとは……自分でっ」

 とか、目を逸らしながら真っ赤になるの、可愛いなぁ、本当。

 キミのそう言う恥ずかしがり屋なところが、僕はたまらなく大好きなんだ。

 下着姿の葵咲ちゃんを抱き寄せて、舌を擦り合わせるような口付けを落としながら、僕は自分の服を少しずつ脱ぎ落としていく。

 ゴムはこう言うことを想定して、洗面台にいくつか置いてあったはずだ。


 いつもと違ってまだ夕方だし、時間はたっぷりあるよね。

 隠してあるのだけで足りるかな?


 うっとりと僕にしがみついてくる葵咲ちゃんを抱きしめながら、僕はそんなことを考えた。
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