僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
『僕、葵咲(きさき)ちゃんが恋しくて堪らないんだ。――今すぐキミを抱きたい……』

 切なくなるような甘えた声。
 理人(りひと)のその声に、下腹部がキュンと疼いて、私は慌ててスマホを強く握りしめる。

「ばっ、バカっ。何言ってるのよ。――お、お友達っ、そばにいるんじゃないのっ?」

 ふとそこに思い至って、余計にドキドキしてしまった。
 人前で抱きたいとか……恥ずかしすぎるでしょっ。
 私だってそばにひおちゃんがいたかもしれないのよ?

 でもそんなことを考えられなくなるぐらい、理人が私を欲してくれているのかな?って思ったら、実際はすごく嬉しくもあって。
 彼を怒りながらも、声に刺々しさが滲まなかったのは、つまりはそういうことで。

『照れた葵咲ちゃん、可愛い。本当、今すぐそっちに行けたらいいのに』

 ポツンと落とされた声は、きっと理人の本音だと思う。

「私もね……一緒にこなかったこと、実はすごく後悔してる。――私も理人が大好きだから……アナタがすごくすごく恋しいよ」

 理人の本音に応えたくて、私も本心をさらけ出したら、電話口で彼が息を飲んだのがわかった。

 私は慌ててその空気を断ち切るように話題を変える。

「あまり飲み過ぎたらダメよ? 私がいないからって、ちゃんぽんしてない?」

 聞いたら、『ごめん、ビールのあと、日本酒』って正直に言ってくれるの。

 理人、本当、可愛すぎるっ。

「それ以上は混ぜたらダメよ?」

 そう言ったら、
『えっとね、日本酒。葵咲ちゃんが今いるところの地酒なんだ』

 切なそうに理人が言ってきて。

『産地を見たら、頼まずにはいられなかった――。ねぇ()()、僕も……そっちに行って、いい?』
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