僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
「――だから、ね?」
 ってうつむきながら言ったら、ひおちゃんがキョトンとする。

「だから?」
 あーん、ダメだ。ひおちゃん、ちゃんと言わないと通じないタイプだっ。

「えっと……一緒に住んでいるし……お風呂も……その、結構一緒に入ってるよ?って言いたかったの……。内風呂付きの旅館に、……泊まりがけで温泉旅行に行ったことも……あるし」

 何だか照れてしまった。
 改めてこんなふうに人に話すと、恥ずかしいものですね。

 恐る恐るひおちゃんを(うかが)い見ると――。

「なっ……」
 なんでひおちゃんが真っ赤になってるのっ!

 私は彼女の反応にドキドキしてしまった。

「やっぱり……ききちゃんはすごいのですっ。お風呂ですし、真っ暗……なわけ……ないです、もん、ね?」

 ややしてそう聞かれた私は、思わず口に含んだシードルを吹き出しそうになってしまった。

「ま、真っ暗じゃ、身体、洗えない、よ?」

「でっ、ですよねっ。――わ、私、あれなのですっ。自分の裸を修太郎(しゅうたろう)さんにお見せするのも恥ずかしいのですが、それより……その……彼のを拝見するのが恥ずかしいのですっ」

 彼のを拝見……?
 真っ赤になってひおちゃんが言うのへ、私は思わず瞳を見開いて……ついですぐ、我慢できなくなってプッと吹き出してしまった。

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