僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
 私が瞳を見開いたのを見て、ひおちゃんがソワソワした様子で「やはり驚かれますよ、ね。――私、そのとき4歳でしたもの……」と申し訳なさそうに告げる。

「ごっ、ごめんなさい、ひおちゃん。そんなつもりじゃ……。ただちょっと驚いてしまって」

 慌ててそう言ったら、ひおちゃんも「私も修太郎(しゅうたろう)さんから初めてそのお話をお聞きしたときは驚いたのです」ともじもじする。

 そこからひおちゃん一筋って……単純にすごいなと思うのと同時に……ちょっぴり怖くも感じてしまった。

 塚田さんは……ロリコンさん?

 思って、「ひおちゃん、塚田さんと再会したのって短大卒業後だった、よね……?」と思わず聞いてしまった。

 ひおちゃんはコクンとうなずくと、「本当色々ありました」と遠い目をして――。

 あ、やばい、ひおちゃん妄想の世界に旅立っちゃう……。

 そう思った私は、思わず身を乗り出して「あ、あのね、ひおちゃんっ」と呼びかけていた。

「あ、は、はいっ」
 ひおちゃんがビクッとして私を見つめてくれて、とりあえずホッとする。

 私はシードルを一口飲んで、仕切りなおした。

「私ね、理人(りひと)も……塚田さんみたいに一途だったらよかったのになって、そう、思ったの……」

 グラスを手にしたままポツン……とつぶやいたら、ひおちゃんが小さく息を呑んだのが分かった。
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