僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
「理人……ズルイ」
信号待ちの際、葵咲ちゃんがそうつぶやいてきて、僕はきょとんとさせられる。
「え?」
何のことを指してズルイと言ってきたんだろう?
努めて冷静な声音で理由を問いかけてみたものの、頭の中はパニック寸前だ。
「私、怒ってるよ?って態度に出しまくってるのに……さっきみたいに不意打ちしてくるの……ホント、ズルイ……」
耳を赤く染めて下を向いたままの葵咲ちゃんは、もしかして照れているんだろうか。
「あんなのされたら……こんなに大事にされてるのに……些細なことで拗ねてる私が子供みたいで……恥ずかしくて堪らなくなる……」
だからと言って、機嫌を直すことはできないのが葵咲ちゃんだ。
「でもね、嫌なの。わかってよ」
消え入るような声音でつぶやくように言われた言葉が、理屈ではないのだと告げられているようで、胸を締め付けられるほどにいじらしくて。
僕は葵咲ちゃんの、そういう不器用なところも含めて愛しているんだ。
「ね、葵咲。僕はキミが言いたいこと、分かってるつもりだよ。――けどさ、キミが怒っているのと、僕がキミの身体が傷つくのが許せないのとは別の話だろ?」
だからそれは切り離して考えてくれないと。
そう彼女を諭すと、葵咲ちゃんが小さく吐息を落としてぼんやりと横断歩道を渡った先の歩道を見つめる。
信号待ちの際、葵咲ちゃんがそうつぶやいてきて、僕はきょとんとさせられる。
「え?」
何のことを指してズルイと言ってきたんだろう?
努めて冷静な声音で理由を問いかけてみたものの、頭の中はパニック寸前だ。
「私、怒ってるよ?って態度に出しまくってるのに……さっきみたいに不意打ちしてくるの……ホント、ズルイ……」
耳を赤く染めて下を向いたままの葵咲ちゃんは、もしかして照れているんだろうか。
「あんなのされたら……こんなに大事にされてるのに……些細なことで拗ねてる私が子供みたいで……恥ずかしくて堪らなくなる……」
だからと言って、機嫌を直すことはできないのが葵咲ちゃんだ。
「でもね、嫌なの。わかってよ」
消え入るような声音でつぶやくように言われた言葉が、理屈ではないのだと告げられているようで、胸を締め付けられるほどにいじらしくて。
僕は葵咲ちゃんの、そういう不器用なところも含めて愛しているんだ。
「ね、葵咲。僕はキミが言いたいこと、分かってるつもりだよ。――けどさ、キミが怒っているのと、僕がキミの身体が傷つくのが許せないのとは別の話だろ?」
だからそれは切り離して考えてくれないと。
そう彼女を諭すと、葵咲ちゃんが小さく吐息を落としてぼんやりと横断歩道を渡った先の歩道を見つめる。