僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
『あ、あーんっ! いい、もっとぉー!』


 こんなにシリアスなシーンなのに。

 スマホから聞こえてくる喘ぎ声が邪魔で、僕は葵咲(きさき)ちゃんと顔を見合わせて、笑ってしまった。

「僕らにはこんなの、必要ないね」

 動画を止めたスマホをベッドの宮棚に置くと、葵咲ちゃんをギュッと抱きしめる。

「ね、葵咲、キスして……いい?」
 耳元でそっとささやけば、小さく首肯してくれて。

 僕は彼女を抱く腕の力を緩めると、葵咲ちゃんの頬へ手を添える。

「葵咲、愛してる」

 涙で潤んだ葵咲ちゃんの瞳をじっと見詰めてそう言ったら、「私も……」って返してくれた。

 そうして、葵咲ちゃんの方から僕に口付けてくれて、
理人(りひと)、愛してる」
 そう、小さな声ではにかむような愛の告白をしてれるんだ。

 僕は堪らず葵咲ちゃんをギュッと抱きしめると、深く深く唇を合わせた。

「葵咲、このまま続けても……いい?」

 問うと「あ、でもシャワー……」って、今更だよ。

「ごめん。待てない」

 そのまま葵咲ちゃんの身体をベッドに横たえると、僕は自分の上をさっさと脱ぎ捨ててベッド下へ落とす。

 そうして葵咲ちゃんに覆いかぶさって、彼女の胸のふくらみを、服の上からやんわりと揉みしだく。

 早くじかに触りたい――。

「葵咲、僕をこんなふうに(たかぶ)らせることが出来るのは、世界にただ一人。――キミだけだからね、忘れないで?」

 言って、彼女の小さな手を取ると、先ほどとは比べものにならないぐらい硬くそそり立った屹立に触れさせて、切なく吐息を落とす。

 葵咲ちゃんは僕の突然の行動に驚いたみたいに瞳を見開いたけれど、逸らされた顔とは裏腹にその横顔はとても嬉しそうだった。
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