名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
「さっき、泣きそうな顔をして無理に笑っていたから……心配事があるなら言ってほしい。二人で解決していこうよ」
 朝倉先生は、私の手を取り手の甲に口づけをした。

「翔也先生」
 私は焦って手を引いたが、朝倉先生は手を離してくれない。

「夏希さんの心に何が引っ掛かっている?」
 手を握られたまま、真っ直ぐに見つめられてそんなことを言われたら逃れるなんて出来ない。

「あの、翔也先生の奥様が事故に遭われてお亡くなりになったと伺いました」
 
 その言葉を聞いて、朝倉先生の眉がピクリと動き、はぁーっと大きく息を吐いた。
「夏希さん。今日は、その話もするつもりだったんだ。姉貴が来てメチャクチャになってしまって、すまなかった」

 「いいえ」と首を振った。

「聞いてもらってもいいかな?」
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