名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~

 そして、朝倉先生の声が聞こえる。

「冷えた心を溶かして動かしてくれたのは、夏希さんだよ」

 その言葉に私の心は熱くなり、朝倉先生の背中に手を回しギュッと抱きしめた。
 朝倉先生の胸に耳を当て心臓の鼓動を聞いた。
 そして、背の高い朝倉先生を見上げてねだる。

「翔也さん、キスして」

「キスだけで止まらなくなりますよ」

「今日は、私に誘惑されてください」

「素敵なお誘いですね」

「満月が綺麗ですから……」

「夏目漱石ですね。我君ヲ愛ス」

 クスリと二人で笑い合って、唇を重ねた。甘く熱く蕩けるような口づけで、息があがり、潤んだ瞳で朝倉先生をみつめた。
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