名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
こうやって、美優を中心に将嗣と過ごしていると将嗣との復縁を望まない自分は酷く我儘を言っているように思う。
けれど、朝倉先生に気持ちを残したまま、将嗣と結婚をしたとしても誰も幸せになれない気がする。
きっと、それは間違いではないはず。
ただ、将嗣の想いに触れると時折、気持ちが揺さぶられる自分を見つけ、複雑な気持ちになった。
将嗣がお父さんと話をしてくると言って席を外し、私は美優を紗月に見てもらい、将嗣のお母さんがお昼ご飯の準備を始めたので手伝わせてもらう。
すると、将嗣のお母さんは、私をジッと見つめ、言い淀みながら口を開いた。
「あの、夏希さん、変な事を聞いて悪いけど、将嗣の前の奥さんどんな人だったかご存じかしら?」
意外な質問に驚いたが、将嗣の別れた奥さんとは一度も会った事が無く、将嗣から聞いた話しでしか知らない。
「ごめんなさい。将嗣さんが既婚者だった事も知らなかったので、何も……」