名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
将嗣をちらりと見みるとまったく何も考えていない感じでモグモグとご飯を食べている。自分の親だから物の言い方の慣れているから気が付かないのだろう。
結婚って、二人の問題のはずなのに二人の後ろに今まで歩んできた人生を支た人たちも絡んで色々な事が起こるんだ。今まで、深く考えた事が無かった。
「ごちそうさまでした。今日はありがとうございました」
「美優ちゃん、また来てね」
将嗣のお母さんは美優の手を取り目を潤ませながら、名残惜しい様子で玄関先まで見送りに出てくれている。
帰り際に挨拶に様嗣のお父さんのお部屋に伺った時には、お父さんは起きていて、みんなで記念写真を撮る事が出来た。
「夏希さん、今日はありがとうね。また来てくれると嬉しいわ」
「はい、また、美優を連れて来ます」
「本当にありがとう。また来てね」
将嗣のお母さんは、そう言って、私の手を両手でギュッと握る。
その握られた手の熱さと強さに将嗣のお母さんの色々な思いが込められていて、有難いような申し訳ないような複雑な気持ちになりながら「はい」と返事をした。
「母さん、いい加減離してくれないと帰れないだろ」
将嗣が助け舟を出してくれた。すると、お母さんは、私の手を放し将嗣の方に向き直り口を開いた。
「将嗣、しっかりしなさい! 父親になったんだから二人に責任があるのよ。いつまでもフラフラしていたらダメなんだからね」
「俺も頑張るから……。母さんも親父の事大変だけど頼んだよ。また、来るから」
「わかったわ、気を付けてね」
そして、私たちは車に乗り込み、将嗣の実家を後にした。