名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
「将嗣よろしくね」
「ああ、明日な」
「うん、明日」
色々、不安や不満はあるけれど、明日を約束できた状況で良かったと思う事にした。
翌朝、目が覚めると昨日痛くなかった所が激しく痛む。昨日はショックで体が興奮状態だったのか痛み止めが効いていたのか。今日は、とにかく痛い。
看護師さんに言って、痛み止めを追加して貰った。
「ネガティブ思考になりそう」っと、ため息をつく。
病室の壁に掛かっている時計を見ると午前10時半になっていた。
ベッドの上で、ただ時間だけが過ぎるのを待っているのは辛く、美優のこと、仕事のことが気になる。心細くて、朝倉先生の声が聞きたかった。
今、体を捻ることも出来ない状態で、ベッドの脇にあるチェストの上にあるスマホを自力で取る事も出来ない自分が歯痒く思いながら時計を見つめる。
パタパタと足音が聞こえるとコンコンとドアをノック音がした。
「はい」
返事をすると、美優を抱いた将嗣と紗月が入って来る。
「おはよう」
明るい声を掛けられ、落ち込んだ気持ちが浮上した。
将嗣に美優の昨晩や朝の様子を聞くと元気に過ごしていたようで安心する。
美優は私の顔を見るなり、抱っこしてもらいたくて泣き出してしまった。