名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
眉尻を下げ情けない顔をした。
「私が、具合悪い時は……朝倉先生が助けてくれた」
「えっ?」
将嗣にこんな話をするのは、どうかな?っと思った。けれど、私が美優を育てていて、困った時にはいつも朝倉先生が助けてくれた。
街中で陣痛が来て動けなくなった見ず知らずの私を病院まで付き添って、出産に立ち会う羽目に落ち負った事。美優の夜泣きが酷くて気持ちが折れそうになった時に助けてくれた事。熱が高くて大変な時、乳腺炎だと気が付いて助産師さんに連れて行ってくれた事を将嗣に話した。
将嗣は、黙って話を聞いてくれたけど下唇をキュッと噛みしめていた。
そして、話が終わると、もう一度 ” はぁ~ ” ともう一度、大きなため息を吐いて
「なんだよ。ずりーなー」っと、上を向く。
それは、涙が零れるのをこらえているようにも見えたけど、気が付かないフリをした。