名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
「父親として必要な時にアイツがいつもいて、夏希を手助けしていたって事だろ。そんなんで、後からホントの父親です。って、ノコノコ出て行ってもなぁ。もっと、早く行動していればなぁ。ヤバイ、ため息しかでない。話を戻そう。なっ」
将嗣の瞳が赤く潤んでいる。それでも明るく話を続けた。
「美優の事を考えたらアイツの手を借りる事にした。公立の一時保育だと時間が短く、民間の所だと時間長いが、通える範囲に無認可しかなかった。ぶっちゃけ、美優を安心して預けられる環境が無かった。内容はアイツと話合って詰めるという事でいいか?」
将嗣にしてみたら不本意な選択だっただろうけど、美優の事を思って選んでくれた事が嬉しかった。将嗣と朝倉先生が話合うなんて、私にしてみたらとんでもないことだけど、ココは美優のため、みんなが譲りあって良い方法を考えるしかないんだ。
「よろしくお願いします。また、後で来るそうです」
クッ、イタタマレナイ……。カンバル。
美優の子守が、だいぶ板に付いてきた将嗣を揶揄いながら朝倉先生が来るのを待っていると程なくして、朝倉先生がドアを開けた。
朝倉先生が病室に入って来ると、和やかだった空気がピンと張り詰めたような気がした。
緊張したような将嗣の表情を見ると自分もつられて緊張してしまう。