名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
横でドキドキハラハラしながら見守っていたが、意外にもスムーズに話が進んで、ホッと息を吐く。
「もう、こんな時間か」
時計は、午後6時を過ぎたところ
「美優ちゃんのご飯の時間だし、風呂にも入れないといけないから、帰るな。朝倉さん、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
将嗣が美優を連れて病室を後にした。
「翔也さん、良かったんですか? ほとんど翔也さんが美優を見てくれるようなプランになってしまったんですけど……」
基本、朝倉先生の自宅で美優は世話をされて、将嗣の仕事の休日前の夜から次の夜まで将嗣の当番、それが週2回。
結局、週5で朝倉先生。週2で将嗣のシフトになった。
「私のところは心強い助っ人が、いっぱい来るだろうから大丈夫だよ。それより園原さんが任せてくれる気持ちになってくれて良かったよ」
「そうですね、子供の預け先を色々調べたみたいですが、仕事の時間と預け先の時間の兼ね合いで、難しい事がわかったみたいで……」
「どの仕事も9時17時の労働時間って訳ではないだろうし、預けたい園に空きが無ければ、通勤とは関係の無い地域まで行って預けないといけないから働きながら子育てをするのは大変だよな」
保育園がやっと決まったとしても全ての道具に名前を入れたり、なにか行事が有れば参加したり、道具を作って持たせたり、仕事と家事と育児の合間に色々やらないといけない事が増えて大変だと友人から聞いて、げんなりした記憶がよみがえった。
預け先を見つけるのも大変で、見つけてからも大変なのか……本当に子育ては楽じゃない。「翔也さん、ありがとう。美優の事をよろしくお願いします」
「園原さんには悪いけど、美優ちゃんの事は自分の子供のように思っているんだ。なにせ、産まれた時から一緒だしね」
朝倉先生は、人差し指を口にあて、内緒だよッと、いたずらっぽく笑った。