御曹司は天使クラス ~あなたのエールに応えたい~
夏美が聞いたことのないような、きりりときつい隆の声だった。
夏美は、思わず隆の腕にしがみついた。
「い、いいよ。隆さん。戸坂さんにも理由があったんだから。そりゃ、腹は立つけど。るきちゃんの事を聞いたら、なんか、もういいかなって気になってきた」
「人がよすぎるよ、夏美ちゃん。体力だって限界があるんだ。もし、夏美ちゃんに何かあったらどうするんだよ」
「私は、この通り元気だし。もう、いいじゃない」
「よくないよ。僕は、もう一個腹を立ててることがある。戸坂とは昨日、今日の仲じゃないと自負してた。僕に編集のイロハを教えてくれたのは、戸坂だ。そんな戸坂が、どうして正直にるきちゃんのことを言ってくれなかったのか、それがはがゆいよ。僕だって力になれたかもしれないのに」
うっ、と戸坂が嗚咽をもらした。会議室の窓の外は、うっすらと翳りを帯びてきていた。
「夏美ちゃん、大丈夫。きつかったら眠ってていいからね」
隆の運転で、マンションまで帰る途中、目がとろんとしてきた夏美を見て、隆が言った。
「うん…ちょっとふにゃっとしてるけど。でも、なんか、すごいもの見ちゃったから眠れない」
「うん?」
「隆さんって本気で怒るとあんな感じなんだなって、初めて知った」
そう言うと隆は、ふふ、と笑った。
「まあね。怒る時は、怒るよ。天使だけどね」
「あ、そういえば。いつるきちゃんと仲良くなったの」
「るきちゃんが病気になる前に、戸坂がリリスに連れてきてたことがあったんだ。可愛い子でさ。隆くん、隆くん、ってなついてくれて。隆くんとメル友になりたい、って言われて仰せのままにしたんだよ。それからメールのやり取りが続いて。手術の日取りまでは知らなかったけど、手術することは知ってたんだ」
はー、と夏美は溜め息をついた。
「さすが天使様。老若男女と幅が広いですね。小学生まで、手の平で転がしちゃって」
「あ、なんか言葉にトゲがあるよ。夏美ちゃん。さては、やいてるな?」
「そうね。ちょっとだけ。私も小学生で隆さんに出会ったら連絡先が欲しかっただろうな」
そこからるきちゃんの話になった。るきちゃんの手術は無事成功した、と嗚咽をもらしながら戸坂は言っていた。
「いろいろあったけど、まあよかったんじゃないかなあ」
「へえ。うちの奥さんは、素直ないい子ですねえ。そういうとこも、好きだけど」
夏美は、思わず隆の腕にしがみついた。
「い、いいよ。隆さん。戸坂さんにも理由があったんだから。そりゃ、腹は立つけど。るきちゃんの事を聞いたら、なんか、もういいかなって気になってきた」
「人がよすぎるよ、夏美ちゃん。体力だって限界があるんだ。もし、夏美ちゃんに何かあったらどうするんだよ」
「私は、この通り元気だし。もう、いいじゃない」
「よくないよ。僕は、もう一個腹を立ててることがある。戸坂とは昨日、今日の仲じゃないと自負してた。僕に編集のイロハを教えてくれたのは、戸坂だ。そんな戸坂が、どうして正直にるきちゃんのことを言ってくれなかったのか、それがはがゆいよ。僕だって力になれたかもしれないのに」
うっ、と戸坂が嗚咽をもらした。会議室の窓の外は、うっすらと翳りを帯びてきていた。
「夏美ちゃん、大丈夫。きつかったら眠ってていいからね」
隆の運転で、マンションまで帰る途中、目がとろんとしてきた夏美を見て、隆が言った。
「うん…ちょっとふにゃっとしてるけど。でも、なんか、すごいもの見ちゃったから眠れない」
「うん?」
「隆さんって本気で怒るとあんな感じなんだなって、初めて知った」
そう言うと隆は、ふふ、と笑った。
「まあね。怒る時は、怒るよ。天使だけどね」
「あ、そういえば。いつるきちゃんと仲良くなったの」
「るきちゃんが病気になる前に、戸坂がリリスに連れてきてたことがあったんだ。可愛い子でさ。隆くん、隆くん、ってなついてくれて。隆くんとメル友になりたい、って言われて仰せのままにしたんだよ。それからメールのやり取りが続いて。手術の日取りまでは知らなかったけど、手術することは知ってたんだ」
はー、と夏美は溜め息をついた。
「さすが天使様。老若男女と幅が広いですね。小学生まで、手の平で転がしちゃって」
「あ、なんか言葉にトゲがあるよ。夏美ちゃん。さては、やいてるな?」
「そうね。ちょっとだけ。私も小学生で隆さんに出会ったら連絡先が欲しかっただろうな」
そこからるきちゃんの話になった。るきちゃんの手術は無事成功した、と嗚咽をもらしながら戸坂は言っていた。
「いろいろあったけど、まあよかったんじゃないかなあ」
「へえ。うちの奥さんは、素直ないい子ですねえ。そういうとこも、好きだけど」