冷徹外科医と始める溺愛尽くしの政略結婚~不本意ながら、身代わりとして嫁ぎます~
 いろいろと察して、慌てて外に飛び出しながら良吾に電話をかけた。

「良吾わるい。助けて欲しい」

『どうしたんだ?』

「三橋陽が、俺のマンションにやってきた。どうやら優を追い出したみたいだ。でも、優のスマホもコートも靴も、全部部屋に残っているんだ」

『まさか、着の身着のまま追い出したのか? さっきから雪がちらついてるぞ』

 良吾の言う通り、帰宅時にはもっていた天気もとうとう崩れたようで、空から白いものが舞ってくる。

「金も持っていないだろうから、そう遠くに行っているとは思わないが。とにかく近所を回ってみる」

『わかった。俺は車でそっち方面へ行ってみるよ』

「ありがとう、良吾」

 視界の邪魔をする雪に舌打ちしながら、一刻も早く優を見つけ出そうと駆けだした。





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