冷徹外科医と始める溺愛尽くしの政略結婚~不本意ながら、身代わりとして嫁ぎます~
「ああ、後日弁護士をともなって再訪させていただきますよ。今日のやりとりを踏まえて、今後について少々決めごとをしておいた方がよさそうだ」
私とこの人に血のつながりがある以上、すっぱりと縁を切るのは不可能だろう。けれど、これからの人生で極力関わらずにすむように準備を進めておきたいと、一矢さんから聞かされている。もちろん、私としても賛成だ。
「三橋さん」
これまでは〝旦那様〟と呼ぶように、京子らから強制されてきた。けれど、もうそうしなくてもよいだろう。
驚いてこちらを見た父には、もう怒りの感情は浮かんでいなさそうだ。後悔でもなく、ただ茫然自失という状況のようだ。
「これまで、私と母に援助してくださってありがとうございました。これからは、一矢さんと共に、緒方家を支えていけるよう努めてまいります」
この人が母を愛人にしていなかったら。私が生まれていなかったら。そんなふうに幾度となく思い、ときには恨む気持ちも抱いた。
でも、私が今こうして一矢さんといられるのは、間違いなくこの人がいたおかげでもある。だから、きちんとお礼を伝えておきたかった。
そして、今後は緒方の人間として一矢さんに尽くしていくという、父に対する決別の意を含めた宣言も。
「優……」
少しはすまなかったと感じているだろうか? 期待しようにも、これまでのあまりにも不誠実すぎる言動に、無駄だろうなと諦めてしまいそうになる。
「優は私が確実に幸せにするので、ご心配には及びませんよ」
最後に一矢さんがそう告げて、三橋の家を後にした。
私とこの人に血のつながりがある以上、すっぱりと縁を切るのは不可能だろう。けれど、これからの人生で極力関わらずにすむように準備を進めておきたいと、一矢さんから聞かされている。もちろん、私としても賛成だ。
「三橋さん」
これまでは〝旦那様〟と呼ぶように、京子らから強制されてきた。けれど、もうそうしなくてもよいだろう。
驚いてこちらを見た父には、もう怒りの感情は浮かんでいなさそうだ。後悔でもなく、ただ茫然自失という状況のようだ。
「これまで、私と母に援助してくださってありがとうございました。これからは、一矢さんと共に、緒方家を支えていけるよう努めてまいります」
この人が母を愛人にしていなかったら。私が生まれていなかったら。そんなふうに幾度となく思い、ときには恨む気持ちも抱いた。
でも、私が今こうして一矢さんといられるのは、間違いなくこの人がいたおかげでもある。だから、きちんとお礼を伝えておきたかった。
そして、今後は緒方の人間として一矢さんに尽くしていくという、父に対する決別の意を含めた宣言も。
「優……」
少しはすまなかったと感じているだろうか? 期待しようにも、これまでのあまりにも不誠実すぎる言動に、無駄だろうなと諦めてしまいそうになる。
「優は私が確実に幸せにするので、ご心配には及びませんよ」
最後に一矢さんがそう告げて、三橋の家を後にした。