冷徹外科医と始める溺愛尽くしの政略結婚~不本意ながら、身代わりとして嫁ぎます~
〝愛人の子〟
それは、私が生まれた瞬間からついて回った言葉だった。
私の実父である三橋正信は、三橋製薬の社長を務める人物だ。歴史の長い三橋製薬は、その実績と信頼で国内でも五本の指に入る大企業に成長した。
妻の京子とは、政略結婚だった。どこかの社長令嬢だという京子は、嫁いできた当初から傲慢な女性だったらしい。
当時、三橋家の使用人として働いていた私の母有里子は、散々奥様に振り回されたと聞いているが、実際に京子を見たらそれも想像できてしまう。
おそらく、夫である正信も気性の激しい妻にうんざりしていたのだろう。他所に癒しを求めたくなったのか、当時未婚の使用人だった母、有里子に手を出した。
離れて住む有里子の親が病に侵されており、治療費を工面するのに苦労していると知ると、正信は費用を肩代わりする代償に関係を迫ったのだ。
母が断れるはずがなかった。そんなことをすれば、仕事までも失いかねなかったのだから。親に仕送りを続けるために、仕方なく始まった関係だった。
その結果生まれたのが私だ。
有里子が妊娠したとわかるや、正信は堕胎を強要した。しかしいつもは従順だった有里子だが、それだけは頑なに従わなかった。
その理由を後に母に尋ねたら、『宿った尊い命だもの。生まないなんて選択肢はいっさいなかったわ』と返され、こっそり涙したのを今でも覚えている。そうやって、母はいつも言葉や態度で愛情を示してくれた。
それは、私が生まれた瞬間からついて回った言葉だった。
私の実父である三橋正信は、三橋製薬の社長を務める人物だ。歴史の長い三橋製薬は、その実績と信頼で国内でも五本の指に入る大企業に成長した。
妻の京子とは、政略結婚だった。どこかの社長令嬢だという京子は、嫁いできた当初から傲慢な女性だったらしい。
当時、三橋家の使用人として働いていた私の母有里子は、散々奥様に振り回されたと聞いているが、実際に京子を見たらそれも想像できてしまう。
おそらく、夫である正信も気性の激しい妻にうんざりしていたのだろう。他所に癒しを求めたくなったのか、当時未婚の使用人だった母、有里子に手を出した。
離れて住む有里子の親が病に侵されており、治療費を工面するのに苦労していると知ると、正信は費用を肩代わりする代償に関係を迫ったのだ。
母が断れるはずがなかった。そんなことをすれば、仕事までも失いかねなかったのだから。親に仕送りを続けるために、仕方なく始まった関係だった。
その結果生まれたのが私だ。
有里子が妊娠したとわかるや、正信は堕胎を強要した。しかしいつもは従順だった有里子だが、それだけは頑なに従わなかった。
その理由を後に母に尋ねたら、『宿った尊い命だもの。生まないなんて選択肢はいっさいなかったわ』と返され、こっそり涙したのを今でも覚えている。そうやって、母はいつも言葉や態度で愛情を示してくれた。