若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
 いつしか彼の手は胸だけでなく下半身にも伸びていた。水着の生地越しに足の付け根に指がふれた瞬間、敏感な場所が擦れて痺れるような快感が沸き上がる。
 視界が真っ白に染まり、脳髄まで電流が走るかのような絶頂。同時に、閉じられていた記憶の蓋が開きだす。脳裡に流れ込んでくる映像を再生しながら、ガクガク足を震わせて達した彼女はカナトに身体を委ね、荒い息を吐いていた。

「あのとき、俺が貴女に言ったこと、覚えてる?」
「け、結婚、しよ……って」
「正解」

 ほんのり塩辛いプールのなかで、強制的に身体を暴かれ彼に抱き抱えられた状態で快楽を与えられたマツリカは、カナトに求められるがまま、しょっぱくなった唇を差し出した。
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