極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
「あの、高坂先生?」

 樹と至近距離で見つめ合っているというありえない状況に繭はたじろぐ。そんな繭の耳たぶを樹がそっとつまんだ。彼はまるでキスでも落とすかのように繭の耳に唇を寄せると、こうささやいた。

「身体で払うってのはどうだ? さっきのキスでちょっとその気にさせられた」

 一瞬、なにを言われたのかわからなくて繭はフリーズする。樹の声のかっこよさとか、さっきのキスとか、本筋とずれたことばかりが繭の頭をグルグルと回っている。身体で払うの部分は聞こえていたものの、脳が理解を拒んでいた。
 パンク寸前になっている繭を見て、樹はふっと笑みをこぼす。

「冗談だよ。あんた、どう見てもそういうタイプじゃないし」
「じょ、冗談?」

 膝から力が抜け、くにゃりとその場にへたり込みそうになった繭を樹が支える。

「おっと。まぁ……その気になったってほうは、あながち嘘でもないけど」

 繭はゆでだこみたいに真っ赤になった顔で樹を見あげる。

「なら、スーツ代はどうしたら……」
「二、三年で戻ってくる予定だから、それまでに貯めておけ。もしくは……」

 樹はまた小悪魔めいた笑みを繭に向ける。

「そのときに身体で払ってくれてもいい」

 
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